こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
子どもの歯列矯正はいつから始めたらいいですか?とは逆に、中高年の方々からは「何歳まで歯列矯正できるんですか?」というご質問をされます。
それにお答えするとしたら「歯があればいつまでも」となりますが、若年層の歯列矯正と比べて中高年の歯科矯正治療は難しくなる事が多いです。
中高年の歯列矯正が難しい理由
それでは、なぜ中高年では矯正治療が難しいのでしょうか?
1 治している歯や抜けている歯が多い
昔に比べて予防歯科が社会に浸透しつつあるため、若い世代はあまり虫歯になる方は少なくなっています。
しかし、年齢が上がるにつれ、歯を治したり歯を抜いたり治療がなされる可能性は高くなります。大きくは虫歯と歯周病が原因です。
このように治している歯や抜けている歯があると、歯を動かしにくいだけでなく、しっかりしたかみ合わせを作る事が難しくなります。
また、差し歯や入れ歯などを考慮に入れながら治療の計画を作製する必要があります。
2 持病がある
若年層であれば大きな病気をされているのは稀ですが、中高年では成人病(生活習慣病)をはじめ様々な病気をされている方が増えてきます。
3 歯の矯正するのが恥ずかしい
先日、矯正相談に来られた方が、「この年になって恥ずかしいんですけど」と話されていました。
中高年で歯列矯正をされている方は多くありません。
そのため、歯の矯正をする事自体、躊躇される方が多いのは事実です。
中高年での歯列矯正のメリット
歯列矯正をすれば見た目が変わるなど各世代共通のメリットは多くありますが、中高年ならではのメリットに関してご説明させていただきます。
1 歯科疾患を予防したり進行を抑える
虫歯や歯周病などの歯科疾患は、そのほとんどが口腔衛生不良から生じる物です。
歯ならびが良くなれば、口腔衛生を良好に保つのが楽になります(あくまで楽になるだけで、しっかり磨かないとダメです)。
その結果、予防などに役立つ事になります。
2 差し歯などを形の良いもので作る事ができる
歯ならびが悪かったとしても長年咬んでいく中で、最低限食事くらいはできるようになっているものです。
ただし、その中の歯が虫歯などで差し歯などにしなければならない場合、標準的な歯の形ではなくいびつな形にならざるを得ない事があります。
歯のならびが良くなれば、標準に近い形で歯を治す事ができます。
3 歯ひとつひとつの負担を減らして、長持ちさせる
歯ならびが良いと前歯も奥歯もまんべんなく力がかかりますが、歯ならびが悪い場合、咬んだ時の歯にかかる力はバラバラで、一つの歯に集中する可能性があります。
中高年にオススメの歯列矯正
通常、歯の矯正と言えば全ての歯に装置をつけるのが一般的ですし、歯科医師もそれを勧める事が多いです。
ですが中高年の場合、そもそもの歯の数が少なくなっていたり、長期間の通院が難しかったりします。
そのように考えると、若い方と同じような治療法が可能であればそれをするのがベストですが、やれる事・簡単な事からスタートしてみるのも良いかもしれません。
1 プチ矯正(部分矯正)
1 見た目だけを考慮したもの
「前歯の並びが気になる」場合に「前歯だけの歯科矯正治療」でできないかと考える事があると思います。
歯ならび全体に不具合を起こすものはオススメしませんが、そうでなければ検討しても良いかもしれません。
こちらの方法は以下の記事でご説明しています。
2 ブリッジやインプラントを考慮したもの
歯が抜けていたり、抜けている歯の隣にズレがある場合、補綴(ほてつ)と呼ばれる方法で歯のすき間を埋めます。
その中に差し歯、ブリッジ、インプラントなどがあるのですが、歯ならびが悪いと作製しにくい可能性があります。
中高年の歯列矯正でのメリットでも示しましたが、そこで歯ならびを変える事でより良い補綴治療ができます。
こちらは後日詳しくご説明させていただきます。
2 マウスピース矯正
矯正で用いられるワイヤー(針金)に抵抗のある方が一定数おられます。
「目立つ」「異物感がある」そのような理由で今まで歯列矯正自体を敬遠されていた方も多いのではないでしょうか。
マウスピース矯正に関しては、ワイヤーの使用が不要もしくは最小限にする事が可能です。
透明で薄いマウスピースは、これまでの歯列矯正への抵抗を和らげてくれるかもしれません。
まとめ
歯列矯正に置き換えると、「矯正は若い人がやるもの」という考えにとらわれ、中高年は歯の矯正はできないと思い込んでしまう事だと思われます。
当院では60代で歯列矯正をされている方がいらっしゃいます。歯の矯正治療は年齢の上限があるわけではありません。
今まで歯の矯正を避けていた方も、「人生で今この瞬間が一番若い時期」ですので、チャレンジを検討していただいても良いのではないでしょうか。