こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
今回は「小学生の歯列矯正は必要か?」です。
歯ならびの悪い子どもに対する3つの選択肢
歯ならびの悪い子どもに対して、どのように矯正治療するかという対応が大きく3つあります。
順にご説明させて頂きます。
1 小学生で矯正する場合
乳歯と永久歯が混ざっている時期(小学生あたりの時期)に矯正治療をおこない、中学生以降(生え変わりが終わった時期)で必要なら更に治療をくわえる場合です(不要なら経過観察)。
【利点】
①大人の矯正に比べて安い
小学生の矯正は、歯が生え替わった場合の矯正に比べて料金が安く設定されている事が多いです。中学生以降も治療が必要になるとあまり変わりませんが、必要でない場合は安く治療ができます。
②骨の成長を利用した装置が使用可
あごの骨のの大きさや位置の異常を修正する場合や、歯の生えるスペースを広げる事などは成長期に可能で、成長期が終わると使用が難しくなります。
③骨の成長も修正できる可能性がある
歯ならびが悪い場合、まっすぐに咬みにくいため、あごを咬みやすい位置に動かす事があります。その咬み癖がついてしまうと、そのまま成長する可能性があります。
④歯が切り替わってからの矯正が楽になる
成長期の装置を使用する事で、奥歯のズレを修正する事が可能になります。ある程度小学生のうちに治療を進める事で、後々の治療が簡単になる場合が多いです。
【欠点】
①治療期間が長期に渡る可能性がある
子どもの矯正治療は、後から成長や生えてくる歯があり、小学生のうちに綺麗な歯ならびになったとしても、すべて永久歯になってからまた矯正治療が必要となる場合があります。その事から、途中で経過観察を含むとしても10年近く(小児矯正:2~3年→経過観察:3~4年→成人矯正:2~3年)治療がかかる可能性があります。
ただし、まったく意味が無いわけではなく、中学生以降の矯正治療が不要となる可能性が上がることや、治療の難易度が低くなる(外科矯正をしなくていい、抜歯が不要となるなど)。
②100%しっかりした咬み合わせまで治療できない
小学生で矯正治療したとしても、後から歯や骨の変化が出てくるので大人の矯正治療ほどはしっかりした咬み合わせにすることはできません。
2 中学生以降で矯正する場合
小学生の間は経過観察して、中学生以降で矯正治療する場合です。
【利点】
①歯を抜いての矯正が可能になる
歯の生え変わりの途中では、まだ永久歯が歯ぐきの中に埋まっています。そのため、その歯がちゃんとした歯であるかがわからず、抜歯をする事はためらわれます。成長や歯の生え変わりが止まって、ここでやっと抜歯をしての矯正治療が可能となります。抜歯する事でスペースをつくり、スペースを詰めながら歯をまっすぐに並べていきます。
②奥歯までしっかり咬み合わせる事が可能
小学生までは成長が残っているために、完全に奥歯まで咬み合わせる事ができません。その点、成長が止まっている状態であれば咬み合わせをしっかり作ることができます。
【欠点】
①治療費が高額になる
中学生以降の矯正治療は、すべての歯が永久歯に置き換わっている可能性が高いため、多くの患者さまは成人と同じ治療となります。
②成長を利用した装置が使えない可能性がある
骨の成長は、男性が中学生~高校生、女性は小学校高学年~中学生でピークを迎えます。そのため、成長が終わってからでは成長を利用した装置は利用できません。
③小学生の時期は何も変わらない
小学生の頃は何も変化しないので、見た目を気にされても我慢が必要です。
④勉強や部活で忙しく、通えなくなる可能性がある
小学生であれば保護者が送り迎えをして、毎月ちゃんと来院されるのですが、中高生になると勉強や部活などで忙しくなる事や患者一人で来院するようになるため、途中から来院されなくなるケースがあります。
3 まったく矯正しない
【利点】
①料金はかからない
料金自体はかからないのですが、歯ならびが悪い状態は変わりません。
【欠点】
①何も変わらない
矯正治療をしなければ、何も改善することはありません。見た目や機能的な物も、ごく稀な物を除いて自然に治っていくことはありません。
どのような選択をすべきか?
3つの選択肢それぞれに利点・欠点があるため、症状によって異なるため、歯科医師によって判断が変わってくる可能性はあります。また、ご家庭によって価値観が違いますので、どの選択肢を選ぶかは各々の判断に委ねられます。
お近くの歯科医院さまで相談して頂いて、ご納得して歯列矯正治療を検討して頂ければ幸いです。