こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
2020年(令和2年)、新型コロナウイルスの感染拡大による不要不急の外出自粛やコロナ患者の受け入れなどのため、来院される患者さまが減少している医療機関が多くなっています。歯科業界も例外ではありません。
今回は医療機関でも受けられる新型コロナウイルス関連の融資・給付金をご説明していこうと思います。
一部、他業種でも利用できる制度がありますので、参考になれば幸いです。
医療機関が受けられる助成金・給付金
助成金・給付金は返済の必要がありません。ですが、収入として課税対象になる可能性もあるので個々に確認してください。
持続化給付金
新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が受けられます。
給付額
法人 :200万円
個人事業主:100万円
ただし、売上減少分を上限とする。
※計算方法 前年総売上ー前年同月比50%以上減の月売上×12か月
詳しくは中小企業庁のホームページでご確認ください。
雇用調整助成金
新型コロナウイルス感染症の影響により業績が悪化した・休校措置などの理由で、事業主が休業手当を支給して従業員を休ませた場合に、その費用の一部を助成するもの。
1か月の売上が前年同月比5%以上減少している必要があります。
こちらは第2次補正予算案も組み込まれている段階なので、まだ確定している支援策ではありませんが、職員一人一日の上限が15,000円(月額33万円)に拡充される予定です。
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
学校等休業助成金
新型コロナウイルス感染症の影響での休校措置で、子どもの保護者である従業員に年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた事業主を助成するものです。
支給額は休暇中に支払った賃金相当額(上限一日8,330円)です。
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
家賃支援給付金
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が2020年5月~12月のいずれか1か月で前年同月比50%以上減少するか、3か月連続で前年同月比30%以上減少した場合に、半年分の家賃の2/3が給付されます。
給付対象となる費用
賃料、共益費・管理費
これらにかかる消費税
賃貸借契約であっても給付されない契約
転貸(又貸し)を目的とした取引
第三者に又貸ししている場合
自己取引
賃貸人(かしぬし)と賃借人(かりぬし)が実質的に同じ人物
親族間取引
賃貸人(かしぬし)と賃借人(かりぬし)が配偶者または一親等以内
給付額
1事業所の場合
法人:最大300万円(月50万円)
個人:最大150万円(月25万円)
2事業所以上の場合
家賃月額75万円までは給付率2/3、家賃75万円~225万円までが給付率1/3となります。
法人:最大600万円(月100万円)
個人:最大300万円(月50万円)
申請方法
家賃支援給付金ホームページから申請(ネットが使えないなどの場合は申請サポート会場での申請)
申請期間
2020年7月14日~2021年1月15日
詳しくは経済産業省のホームページでご確認ください。
労働者への休業手当の直接給付制度
こちらは第2次補正予算案も組み込まれている段階なので、まだ確定している支援策ではありません。
雇用調整助成金で休業手当を受け取れなかった労働者に対して、月額33万円を上限に賃金の8割を直接給付するものです。
みなし失業と同じ手続きで休業証明をハローワークに提出するようになる予定ですが、被保険者期間がリセットされる可能性がある事と雇用保険加入に関して確認が必要です。
新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金
1)新型コロナウイルス感染症に対する医療提供に関して都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務して、実際に医療機関が新型コロナウイルス患者を診療した、患者と接する医療従事者や職員に対して20万円を給付。
2)新型コロナウイルス感染症に対する医療提供に関して都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務して、医療機関は新型コロナウイルス患者を診療しなかった、患者と接する医療従事者や職員に対して10万円を給付。
3)その他の病院・診療所・訪問看護ステーション・助産所に勤務し、患者と接する医療従事者や職員に対して5万円を給付。
対象は一定期間の勤務経験が必要で、給付金自体は非課税扱いとなる予定です。
追加情報は以下の記事で随時更新していきます。
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
医療機関・薬局等における感染防止等の支援
新型コロナウイルス疑い患者とその他の患者が混在しない動線確保など、院内での感染拡大を防ぐための取り組みをおこなう医療機関・薬局に対して、感染拡大防止対策等に要する費用を補助するものです。
令和2年4月~令和3年3月でかかった費用の概算を申請して、期間終了後に領収書などを提出して精算します。
補助額
病院 :200万円+5万円×病床数
有床診療所:200万円
無床診療所:100万円
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
感染拡大防止のための歯科医療設備整備事業
こちらは第2次補正予算案も組み込まれている段階なので、まだ確定している支援策ではありません。
病院歯科等に対して、歯科用吸引装置(口腔外バキューム)に係る経費の1/2を国が補助する。
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
医療機関が受けられる資金繰り支援
融資に関しても支援があります。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に業況悪化している場合、日本政策金融公庫が無担保で貸付をおこなうものです。
最近1か月の売上が前年もしくは前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者が対象です。
融資限度額
個人:6,000万円
法人:3億円
返済期間
設備資金:20年以内(据置期間5年以内)
運転資金:15年以内(据置期間5年以内)
利率
1億円以下:当初3年間は基準利率ー0.9%で、以降は基準利率
1億円超 :基準利率
特別利子補給制度
最近3か月間のうち1か月の売上が前年もしくは前々年の同期と比べて15%~20%以上減少していれば、利息の補給で実質無利子になる可能性があります(詳細検討中)。
詳しくは日本政策金融公庫のホームページでご確認ください。
福祉医療機構・医療貸付
新型コロナウイルス感染症の影響で事業停止などになった医療機関に対して、独立行政法人福祉医療機構が優遇融資をおこなうものです。
融資限度額
診療所:4,000万円(うち4,000万円無担保貸付)
病院 :7.2億円(うち3億円無担保貸付)
返済期間
15年以内(据置期間5年以内)
利率
当初5年間は1億円まで無利子で、1億円超は0.2%
6年目以降は0.2%
詳しくは独立行政法人福祉医療機構のホームページでご確認ください。
セーフティネット保証
セーフティネット保証とは、中小企業信用保険法に基づき、取引先のや取引金融機関の破綻や災害などで経営の安定に支障を生じている企業に対して、信用保証協会による保証限度額に別枠を設けて事業資金の調達を円滑にするものです。
セーフティネット保証4号
自然災害などの突発的事由による環境の急激な変化で、資金繰りを支援するための実施される保証制度です。
売上が前年同月比20%以上減少している事業者で、借入債務の100%を保証し、保証枠は一般保証枠とは別に最大2.8億円です。
セーフティネット保証5号
その時々の経済状況で業況が悪化している業種を対象に支援する保証制度です。
売上が前年同月比5%以上減少している事業者で、借入債務の80%を保証し、保証枠は一般保証枠とは別に最大2.8億円です。
詳しくは各金融機関もしくは中小企業庁のホームページでご確認ください。
危機関連保証
セーフティネット保証とは別枠で信用保証協会が保証するものです。
売上が前年同月比15%以上減少に対して、借入債務の100%を保証し、保証枠は一般保証枠とは別に最大2.8億円です。
詳しくは各金融機関もしくは中小企業庁のホームページでご確認ください。
民間金融機関での実質無利子・無保証料融資制度
上記のセーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかの認定を受けている場合に、民間金融機関で信用保証協会での保証をつけた実質無利子融資への借り換えが可能になります。無担保での融資で、一定要件(①法人・個人分離、②資産超過)を満たせば保証人が不要です。
法人・個人分離:法人と経営者個人の業務、経理、資産所有などが明確に分けられていること
資産超過:資産総額が負債総額を上回っている状態のことで、対義語は債務超過です。
融資限度額
4,000万円
返済期間
10年以内(据置期間5年以内)
利率
各金融機関で決定
保証料
信用保証協会の定めによる
個人:売上が前年同月比5%以上減少であれば全額免除
法人:売上が前年同月比5%以上減少であれば半額免除、前年同月比15%以上減少であれば全額免除になる
補助期間
保証料は全融資期間、利子補給は当初3年間受けられる
詳しくは各都道府県のホームページでご確認ください。
小規模企業共済制度特例措置
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主を支援するため、1か月の売上が前年もしくは前々年同期と比較して5%以上減少した小規模企業共済加入者に対する特例措置です。
特例緊急経営安定貸付
借入額 :50万円~2,000万円(掛金納付月数に応じて、掛金の7~9割)
借入期間:500万円以下の場合4年、505万円以上の場合6年(いずれも据置期間1年含む)
利率 :無利子
延滞利子免除
1年間延滞利子を免除できる
掛金納付期限延長等
掛金月額の減額や令和2年11月までの掛金の請求を延長できる
分割共済受給者の一括支給(繰上支給)対応
分割共済金を一括支給できる
詳しくは独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページでご確認ください。
税・社会保険料等の支援策
税金や社会保険料でも猶予や減免があります。
税・社会保険料等の納付猶予・期限延長
2020年2月から納期限までの一定期間(1か月以上)において、事業収入が減少(前年同期比約20%以上)などの条件があれば、税金や社会保険料(健康保険や雇用保険など)を無担保+延滞税無しで1年間猶予する。
詳しくは、国税に関しては国税庁のホームページで、他の地方自治体での税に関しては各自治体のホームページでご確認ください。
また、社会保険料に関しては厚生労働省のホームページでご確認ください。
固定資産税・都市計画税の減免
2020年2月~10月までの任意の連続する3か月の収入の対前年同期比減少率が大きい場合、事業用家屋及び設備等の償却資産に対する固定資産税、事業用家屋に対する都市計画税を減免する。
減少率が50%以上で全額免除、30%以上~50%未満で1/2減額される。
詳しくは経済産業省のホームページでご確認ください。
各自治体独自の支援制度
各自治体によって独自の支援策をとられています。
詳しくは各自治体のホームページでご確認ください。
診療報酬の概算前払
健康保険の診療報酬は申請して2か月後に振り込まれるのですが、1か月早く振り込まれます。
新型コロナウイルス感染症により収入が減少し、福祉医療機構や日本政策金融公庫等からの融資が必要となっている保険医療機関で、申請期限までに社会保険診療報酬支払基金及び都道府県の国民健康保険団体連合会に申請が必要です。
詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。
まとめ
新型コロナウイルスの未曾有の感染拡大により、経営的に大きなダメージを受けた医療機関さまが多かったと思われます。
医療業界の実際をあまりご存知でない方々は「医者(歯医者)は儲かっているから大丈夫でしょ?」などと心ない事を話されますが、苦しんでいる医療機関さまも多い事をご理解いただけるとありがたいです。
医療機関にもお勤めされている従業員がおりますので、その従業員の生活を守る必要があります。また地域医療を担う責任があるので、簡単に閉院する事もできません。
今回の支援策が多くの医療機関さまに届きますように。