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矯正歯科は転院できますか?

こんにちは。

宮城県岩沼市の

いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。

今回は「歯列矯正の転院」に関してです。

引っ越し2

 春先になると、進学・就職もしくは転勤などで、引っ越しが多くなります。歯列矯正を受診している患者さまも例外ではありません。
 その場合、どのように行動を取ればいいのかご説明していこうと思います。
 まずは、転院した際のデメリットからです。

 

転院のデメリット

 

1 追加で料金がかかる

 歯科矯正治療の多くは数年かかります。そのため、治療途中で転院が必要となる場合があります。また、歯列矯正の多くは健康保険が適用されません。そのため、医療機関ごとにかかる費用が異なります。この事から、転院の際に転院先の医療機関でも費用がかかる事になります。
治療が終わっていれば問題は無いのですが、治療途中の場合は最後まで完了していないので治療費の返還の可能性があります。

2 転院元と転院先の治療方針が異なる可能性がある

オンライン診療でで矯正歯科相談できますか?でもお伝えしましたが、歯列矯正は歯科医師によって治療方針が異なる場合があります。そのため、転院した先で治療が変更になる事もあります。

3 転院先との相性が合わない可能性がある

歯科矯正治療を担当する歯科医師・歯科医院が変更になるので、今までの所で築き上げてきた信頼関係が次の所で同じようにできるとは限りません。

 転院先で相性が合わないとしても、再転院するのは大変な面倒になります。

引っ越しする時の手順

 

①通院している医療機関に転居を伝える

 遠方に転居する事が決まったら、通院している歯科医院にお伝えください。その際、様々な会話がもたれると思われますが、選択肢は大きく以下の2つになります。

そのまま治療を継続

 治療がもう少しで終わる予定であったり、今の歯科医院・歯科医師に信頼を寄せている場合、少々遠方でもそのまま通院を継続する事があります。

 実際に当院は宮城県ですが、東京に引っ越しをされた方が数名通院しています。

 このような場合注意する事として、装置の不具合での対応が早急にできません。

そのため、当院で遠方から通院している方はほとんどがワイヤーでの矯正治療ではなく、不具合があったとしても患者さま自身で対応のしやすいインビザラインなどマウスピースでの矯正治療をしています。

転院する

 治療がこれからも長く続く事が考えられる場合や、治療が終わって保定や経過観察に移行した場合などは、他の歯科医院へ転院となります。

②( 転院の場合)転院先を決める

 転院するとなったら、どこの歯科医院へ行くか決めなければなりません。これも選択肢は大きく以下の2つになります。

転院元の紹介

 歯科医師ごとに治療が違うとご説明してきましたが、矯正歯科専門の歯科医師はそのほとんどが大学の矯正歯科講座出身である事が多いです。出身大学が同じであれば大きく治療方針が違う事は少ないですし、患者さまを無下に扱う事もあまりないと思われます。

自分で探す

 引っ越し先の周辺に歯列矯正をしている歯科医院が無い場合、転院元で紹介できる歯科医院が無い場合、そして紹介された歯科医院と違う所に転院したい場合は、患者さま自身で探す必要があります。
 自分で探すのはなかなか難しいですが、矯正歯科の認定医って何ですか?でご説明したように、日本矯正歯科学会認定医を目安にしてもいいかもしれません。

③紹介状を作成してもらう

 転院先が決定したら紹介状(診療情報提供書)作成を転院元に依頼します。歯列矯正では通常の紹介状以外に多くの資料作成が必要になるので、歯科医院によってはその分の費用を請求される事があります。

④転院先の医療機関に予約・相談する

 ご自身のタイミングで、紹介状や転院資料を持参して転院先に受診します。引っ越しの後は家の事や会社・学校に慣れるので精一杯で、歯列矯正はついつい後回しにしがちですが、口の中の装置の汚れや本人が気付かない装置の不具合などの関係から早めに行動した方が良いです。


転院先で必要なもの

 

1 紹介状(診療情報提供書)

 通常は治療計画や治療経緯が書いてあるだけなのですが、歯科矯正治療の転院では今まで支払った治療費の記載が重要です。

 それも加味して、転院先はこれからかかる治療費を検討します。

2 患者資料(初診時)

 最初どのような状態だったか?が重要です。初めに検査した時のレントゲン写真・顔の写真・口の中の写真・分析結果・(必要に応じて)歯型を転院先に持って行く事になります。

矯正歯科専門の歯科医師・歯科医院であれば概ね資料が揃っています。しかし、歯列矯正を開始する際の検査を丁寧にしていない医療機関もあるので、資料が無いもしくは保存していないなど不十分である事もあります。

 その場合、転院受け入れを拒否される可能性があります。

 

転院が難しい事例

 転院のお話をさせて頂きましたが、転院が難しいケースもあります。

1 特殊な治療をしている

 中学生以上の矯正治療で特殊な治療をしている場合は、転院先でも採用している治療法・矯正装置でないと難しい可能性があります。
・保険適用の矯正治療(歯の矯正で健康保険はききますか?を参照してください)
・歯の裏側からの矯正(舌側矯正・リンガル矯正)
・マウスピース矯正(インビザラインなど)
・矯正用インプラントを使用した治療
特に裏側からの矯正と矯正用インプラントは、メーカーが異なると治療の器材が変わる事が多いです。

2 歯科医院・歯科医師を変更したいだけ

 遠方に引っ越すので通院が難しいから転院する事は当然の流れですが、現在受診している歯科医院・歯科医師を変更したいだけで転院したいというのは難しいと思われます。
 例えば、歯科矯正治療を始めたが歯科医師に不信感があって治療する歯科医院を変えたい、近所に通いやすい所が出来たから歯科医院を移りたい、そのような理由での転院は基本的に受け付けられない可能性があります。あったとしても、通院中の歯科医院からの紹介状や承諾が必要になります。

 

まとめ

通常の歯の治療であれば、歯科医院を移る事は比較的簡単にできますが、歯科矯正治療はそのようにはできません。通院中の歯科医院としっかり話し合って、ベストの方法を検討して頂ければ幸いです。

医療法人KOM いわぬま矯正歯科クリニック

宮城県岩沼市たけくま1-11-1
理事長兼院長 日本矯正歯科学会認定医 小森 亮

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