こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
今回は、セラミック矯正に関して、矯正歯科医師の視点でご説明させていただきます。
もくじ
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セラミック矯正とは?
セラミック矯正と呼ばれる治療法があります。矯正と名前がついていますが、正確には補綴(ほてつ)という分野のクラウン・ブリッジという治療です。俗に言う「差し歯」がこれに当たります。
並びの悪い歯を抜いたり削ったりした後、並びの良い差し歯やブリッジ、インプラントなどを入れます。
セラミック矯正の治療の流れ
①治療の相談
現在のお悩みを伺い、お口の中での状態を確認する事でおおよその治療をご説明します。
②精密検査
レントゲンの撮影や歯型の採取など、治療に必要な検査をします。
③虫歯や歯周病があれば先に治療する
虫歯や歯周病など差し歯を入れる周りに病気があると、差し歯を入れてもそこが病気になってしまいます。そのため、事前に病気を治す事が必要になります。
④歯を削る(形成)
歯を削って差し歯が入れられるように歯の形を整えます。歯の削る量が大きい場合は神経を抜く事もあります。この際に仮歯(TEK)を装着する事で、周りのかみ合わせなどを確認する場合があります。
⑤差し歯(クラウン・ブリッジ)装着
差し歯やインプラントを装着して、周りの歯との咬み合わせを微調整する。
セラミック矯正の利点
1 治療期間が短い
一般的に歯列矯正は、2~3年程度治療期間を必要としますが、セラミック矯正は早ければ1日で治療が終わります。
2 費用が安い
成人の歯列矯正は種類にもよりますが、おおよそ100万円程度です。それに比べると数万~数十万円に費用が抑えられます。
3 歯の色や形を調整できる
歯ならびが悪い事で、欠けてしまったり削れるなど歯の形が悪くなってしまう場合があります。また、歯の色が元々変わっている事もあります。
歯を動かすだけでは修正できない色や形を、思い通りに治す事が可能です。
また、以前は芸能人などで白い差し歯が好まれていたため、いかにも差し歯というくらい白すぎる色で作製される事が多くありました。最近はアメリカなどで白すぎない歯が流行り始めているため、これからは自然な色の歯が主流になると思われます(それが当たり前の治療なのですが)。
また、以前は芸能人などで白い差し歯が好まれていたため、いかにも差し歯というくらい白すぎる色で作製される事が多くありました。最近はアメリカなどで白すぎない歯が流行り始めているため、これからは自然な色の歯が主流になると思われます(それが当たり前の治療なのですが)。
セラミック矯正の欠点
1 歯を削る量が多い
まっすぐな歯で差し歯を作製するのであれば、歯を削る量は必要最小限で構いません。しかし、斜めになっている歯で差し歯を作製する場合、通常より大きく削らないといけません。
場合によっては、歯の神経を抜く必要があります。
2 差し歯には耐用年数がある
口の中というのは、皆さんが思う以上に過酷な環境にあります。常に湿っている、食べ物が定期的に入ってくる、無数の細菌がいるなどなど、、、
そのような条件ですと、差し歯が永遠にそのままの状態で保たれるという事はありません。数年では変化はありませんが、数十年単位となると修正や入れ替えが必要になる可能性が高いです。
また、年齢的な理由で歯ぐきが下がってきます。そのような場合も修正は必要になります。
3 歯の強度が下がる
斜めの歯に差し歯を装着すると、まっすぐな場合に比べて咬む力への強度が弱くなります。そのため、歯の根っこに力が変にかかってしまい、歯の神経がおかしくなったり根っこ自体が折れやすくなります。
4 口の中をキレイに保つ必要がある
差し歯の耐用年数に関連するのですが、口腔衛生の状態が悪いと、自分の歯(天然歯)以上に差し歯は虫歯や歯周病になりやすいです。
そのため、歯みがきなどの口腔ケアをしっかりしないと、差し歯の入れ替えどころか、さらに歯を抜かざるを得なくなる可能性もあります。
まとめ
セラミック矯正は通常の歯列矯正に比べて早い・安いという事から、時間的・金銭的に余裕の無い方に好まれる傾向があります。
歯ならびなど、他人からの見た目が一番気にするのは若い世代ですので、金銭的な理由でセラミック矯正に魅力を感じるのではないでしょうか。
また、中高年の方々でも「矯正装置を見られたくない」であったり、「元々治している歯だから」「忙しくて時間が取れない」との理由でセラミック矯正を選択される事があります。
しかし、もう一度良く考えてください。
年齢を重ねたとしても自分の歯(天然歯)だけで咬む事ができるのが一番良いですし、医療はそこを目指すのが本来の姿だと思います。
特に若年層の方は健康な歯が多いので、数十年後の事を想像して、本当に差し歯にして良いのか検討して頂ければ幸いです。
いわぬま矯正歯科クリニックでは、セラミック矯正による治療をしていませんし、お薦めする事もありません。
一般歯科関係者の皆さまへ
このブログでは、どなたでも分かりやすくご説明するために、「セラミック矯正=差し歯」に近い表現をさせて頂きました。
当然クラウン・ブリッジを始めとする補綴は、歯科において重要な治療法であり、それを否定する物ではありません。またセラミック矯正に関しても、それを必要とする患者さまがおられるのも事実です。
ただ、歯列矯正など天然歯を保存できる選択肢を考慮せず、安易に天然歯を削合・補綴してしまう事には私自身疑問を覚えます。
文章の表現を不快に思われる方がおられましたら、大変申し訳ありません。
宮城県岩沼市たけくま1-11-1
理事長兼院長 日本矯正歯科学会認定医 小森 亮
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