こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
歯列矯正のご相談を受けていると、よく聞かれるご質問がいくつかあるのですが、そのうちのひとつが「期間はどのくらいかかりますか?」です。
今回は、「大人の矯正(成人矯正)の治療期間」に関してご説明させていただきます。
大人の矯正治療とは?
矯正治療は大きく2つに分かれます。
ひとつは小学生あたりで、乳歯と永久歯が混在している時期(混合歯列期)でおこなうもので、小児矯正とよばれます。
もうひとつはすべて永久歯に切り替わってから(永久歯列期)開始される矯正治療で、成人矯正とも呼ばれます。小学生であっても生え替わりや成長によって成人矯正になる事もあります。
これが大人の矯正です。
大人の矯正治療の流れ
大人の矯正治療の流れは、概ね以下のようになります。
①相談
②検査
(1)レントゲン写真
歯の内部や骨の状態を確認します。
歯がすべて写したものです。歯の数や歯の内部(根など)、親知らずなど埋まっている歯の状態を確認します。
首から上を撮影したものです。歯や骨の大きさやバランスなどを確認します。
(2)口腔内写真
(3)顔面写真
(4)歯型採り
印象材と呼ばれる粘土のような素材で歯型を採り、石膏模型を作製します。模型で歯の形であったり歯ならびの状態を確認します。
(5)口腔内診査
③診断
④矯正治療
装置を装着して治療します。
⑤保定
矯正治療が終わると装置を外しますが、外すと後戻り(元の状態に戻ろうとする事)を起こすことがあります。それを防ぐためにマウスピースをつけたり裏側からワイヤーを取り付けたりします。
この際、数か月ごとに来院する必要があります。最低でも矯正治療終了後2年程度は通院した方が、後戻りがあった時に対応しやすいです。
大人の矯正の治療期間
全部の歯に装置をつける治療法であれば個人差や治療の難易度にも依りますが、2~3年程度です。人のからだの話ですので、必ずその期間で終わるわけではないのですが、多くの患者さまはその期間で歯を動かす治療が終わります。これを矯正のご相談で言うと、「わあ、そんなにかかるんだあ!」と言われる事があります。
歯を動かすと歯に負担がかかりやすいのですが、それを最小限に収めるようにゆっくり動かしていくのでこのくらいの期間がかかります。
女性ですと2~3年くらいあると、矯正治療期間中に結婚や出産など人生の大きなイベントが起こりうるため、なかなか治療に踏み出せない方もおられます。ですが、そのようなイベントがあったとしても歯科矯正治療は継続できます。レントゲン撮影のできない時期があったりお越しになれない時期もあるのですが、歯みがきさえしっかりして頂ければ矯正装置はつけたままで大丈夫です。
治療期間に影響を与える要因
①歯の凸凹程度(抜歯の有無)
凸凹の度合いで治療期間は変わります。凸凹が小さければ短くなりますし、大きければ長くなりますが小臼歯の抜歯などを組み込む事で期間を抑える
②骨の硬さ
矯正治療は歯が動いているように見えますが、実際には歯ぐきの内側の骨の中で歯の根っこが移動しています。そのため、歯ぐきの骨が硬す
ぎると歯の動きは悪くなり、治療期間は延びてしまいます。
③通院間隔
ワイヤーなどを調整してから歯や骨の動きが終わるまで、3~4週かかります。そのため、付ける装置にもよりますが矯正歯科への通院は1か月ごととするのがほとんどです。
④患者さまの協力度
歯の矯正治療は何かしら患者さまの協力を必要とします。装置を自分で取り付ける場合もありますし、しっかり歯を磨いて虫歯の無い状態にするのも協力のひとつです。
その協力が得られないと治療が進まない事にもなります。
まとめ
虫歯など通常の歯科治療であれば、その日で治療が完結するなど短期間で済みます。しかし、歯列矯正はその性質上、数年にわたる治療を必要とします。その期間を通えないとなると、プチ矯正こと部分矯正(プチ矯正ってどうですか?)やセラミック矯正(セラミック矯正って何ですか?)を考える可能性はあるのですが、メリット・デメリットは以前の記事でお伝えした通りです。
今回は一般的な歯の矯正治療期間をご説明しましたが、治療期間が1年未満の「スピード矯正」とよばれる技術があります。これはかなり特殊なので後日改めてご説明します。
ブログでは一般的な話に終始しましたが、個々の症状で期間は異なります。ご自分の症状はお近くの歯科医院にご相談してください。