こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
先日2歳の女の子が、虫歯の治療で麻酔をした後、容体が急変して亡くなるという事故がありました。
記事の内容から推察すると、アナフィラキシーショックと思われます。
アナフィラキシーショックとは?
アレルギー反応の一種で、急速に全身的に症状が出てきます。食べ物によるもの、蜂に刺される、薬物摂取など色々な原因があって、どなたにも起こりうるものです。
このようなニュースが出てから、「こちらでは麻酔をしますか?」とお尋ねになる方がいらっしゃるようになりました。
歯列矯正で関連する麻酔
矯正歯科では一般歯科と違い、いわゆる麻酔を使う機会は少ないです。
また、矯正歯科専門としてる医院では、抜歯など麻酔を利用する治療をしておらず、他の歯科医院や病院に依頼している事があります。
歯科矯正で麻酔を必要とするのは以下の通りです。
1 抜歯
矯正歯科では歯の凸凹を解消するために、小臼歯などを抜くことがあります。それ以外にも親知らずを抜く事もあります。
2 矯正用インプラント(プレート、スクリューなど)
歯の移動のために、歯ぐきにネジやプレートを固定する技法(矯正用インプラントアンカー)があります。その際に麻酔が用いられます。
3 歯肉切除
歯ぐきの形態によっては、そのままでは矯正装置を付けにくい事があります。その場合歯ぐきを切ることがあります。
4 開窓牽引
歯が通常と異なる場所から出てくる可能性がある、もしくは埋まって出てきそうにない場合、事前に歯を誘導するために歯ぐきの一部を切って、矯正装置を取り付ける事があります。
5 全身麻酔(外科矯正など)
一度に多くの歯を抜く処置であったり、あごの骨を切る外科矯正では全身麻酔が使われます。
麻酔の種類
1 局所麻酔
歯医者さんが一番使う麻酔です。歯ぐきに注射をすることで周辺の感覚を麻痺させます。
キシロカイン(薬理名リドカイン)が多いですが、アレルギーがある場合はシタネスト(薬理名プロピトカイン)が用いられます。
2 表面麻酔
塗り薬やスプレーなどで、粘膜の表面だけを麻痺させるものです。注射の痛みを和らげるために用いられます。
3 吸入麻酔(ガス麻酔)
肺から吸入する麻酔で、歯科で多く利用されるのは笑気ガス(亜酸化窒素)ですが、これ単体では麻酔はかけないので、他の麻酔と組み合わせる事になります。
4 全身麻酔
吸入麻酔薬と静脈麻酔薬を組み合わせて、患者の意識をなくして治療を進めます。
まとめ
事故のニュースなどがあると、「麻酔は怖い」と思われるかもしれません。しかし、歯科で麻酔は必要なものであり、矯正歯科の分野でも利用する事があります。
どのような薬でも副作用はあるものです。正しく理解して必要以上に恐れないようにして頂ければ幸いです。