こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
「昔、矯正で歯ならびを治したのに、凸凹に戻ってしまった」という話を聞く事があると思います。
せっかく歯ならびが綺麗になったのに、なぜズレてしまうのでしょうか?
歯列矯正は後戻りとの戦い
歯列矯正は歯を動かす治療ですが、綺麗に歯が並んだ後は歯を動かさないで止める必要があります。これを保定(ほてい)と言います。
どれだけ綺麗に並んだとしても、後で形が崩れてしまっては意味がありません。マウスピース(リテーナー)や歯の裏からのワイヤー固定で、歯がズレてしまうのを抑えます。
後戻りする原因
1 歯ぐきの安定に時間がかかる
繰り返しになりますが、歯列矯正は歯を動かす治療です。
歯や歯ぐきの中の骨は動いたとしても、歯ぐきの筋肉は簡単に動きません。逆に、歯や歯ぐきの中の骨が動きを止めても、歯ぐきの筋肉は元の位置から引っ張られ突っ張った状態が続きます。歯や骨と筋肉の安定にはギャップが生じる事となり、それが後戻りを引き起こします。
2 成長が進んだ
子どもの受け口(反対咬合)の矯正治療をした後に歯ならびがまた悪くなった場合、原因の多くはこれです。
子どもの矯正治療は、小学生の頃におこなわれます。しかし、あごの骨(下顎骨)の成長は身長の成長と同じ時期に起こるため、女子は小学校高学年~中学、男子は中学~高校がピークになります。小学校中学年あたりで治療したとしても、あごの骨が大きく成長してしまうと後戻りとなります。
そのため受け口の治療は、「出っ歯では?」と思うくらい上の前歯を前に出します。その後の成長を考えると、それで丁度良いくらいになる事が多いです。
3 舌や唇に押された
歯ならびは歯や骨だけでなく、その前後にある舌や唇などの軟組織の影響も受けます。矯正装置で綺麗な歯ならびになったとしても、歯ぐきと同様に軟組織は何も動かしていません。そのため、軟組織で押される事で歯ならびがズレてしまう事があります。
舌に関して言うと、舌突出癖と呼ばれるものがあります。通常、舌は上の歯ぐきの裏あたりについている物なのですが、舌を前に出す癖をお持ちの方がおられます。乳児期は母乳を吸うために舌を前に出すので、常に舌を前に出しています。成長に伴って舌を出さなくなるのですが、一部の方は出したままになる事があります。
小学生あたりの子どもに多いのですが、その場合MFT(機能療法)で対処していきます。
4 リテーナーが使えていなかった
リテーナーには大きく2種類あって、ワイヤーで固定するものとマウスピースを使用するものがあります。それぞれに利点欠点があるのですが、マウスピースは使用しないと効果がありません(当たり前ですが)。
夜間だけでも使用していれば、それなりに維持できるのですがそれもしなければ後戻りしてしまいます。
5 無理のある治療だった
治療計画の段階で検討すべき事ではあるのですが、患者さまの希望や諸々の事情がからむと難しくなってしまいます。
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宮城県岩沼市のいわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
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後戻りのリカバリー法
後戻りしたとして、何もしなければ凸凹のままです。元の綺麗な歯ならびに治すためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
1 リテーナーの長時間使用
ズレがわずかであれば、使っているリテーナーを長時間使用する事で元どおりの歯ならびになる可能性があります。
通常リテーナーは、矯正治療直後では食事・歯みがき以外全ての時間使用、数か月後から夜間のみの使用が推奨されます。使用時間が短くなって後戻りしやすくなったのであれば、使用時間を長くしていただく事で歯のズレを修正します。
2 ワイヤーでのリカバリー
ズレが大きくなってしまうと、針金をつけないと元のまっすぐな状態に戻せなくなります。
3 マウスピースでのリカバリー
リテーナーで元どおりにならないレベルであれば、何かしら動かす装置が必要となります。ワイヤーはまたつけたくないなどのご希望がある場合、マウスピースでのリカバリーという選択肢があります。
マウスピースで歯を動かすというとインビザラインを以前ご説明しましたが、そこまで大がかりでは無いマウスピースも存在します。アライナーと呼ばれる昔からある装置なのですが、前歯だけの小さな修正であればインビザラインよりも適切です。
まとめ
患者さまの側から考えると、「なぜ後戻りしたのだろうか?」と思われるかもしれませんが、歯科医師の側から言うと、歯列矯正は後戻りする事を前提に治療を考えています。そのため、後戻りへの予防法が考えられ、後戻りした後の対策も考えられてきました。
歯科医院によっては、「保定も治療です」とご説明しているようです。せっかくお金と時間をかけて綺麗にしたのですから、それを維持していく事も頑張っていきませんか?
医療法人KOM いわぬま矯正歯科クリニック
宮城県岩沼市中央1-5-21-1F
理事長兼院長 日本矯正歯科学会認定医 小森 亮