こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
今回は夜寝る時だけ使用する装置に関して、ご説明させていただきます。
寝る時だけ使用する矯正装置とは?
歯列矯正には夜寝る時だけ使用する装置があります。
子どもの矯正に利用されるマウスピース(床矯正)がその代表で、寝る時に装着して朝起きたら外すので、使用時間は基本的に寝る時だけです。
寝る時だけの装置のメリット
自分で取り外しのできる矯正装置を可撤式(かてつしき)装置と言います。
負担が少ない
夜だけの装着で昼間は何も装置がつかない状態ですから、日常生活に支障があまりありません。その分、負担は少ないと言えます。
装置の不具合で対処しやすい
装置が外れる・刺さるなど不具合がある場合、ずっとついている装置は自分で外す事が難しいため痛みが続きます。それに比べて取り外しができると不具合があっても外していれば良いだけになります。
歯を磨きやすい
装置を外す事ができるので、歯は磨きやすいです。
ずっと付いている装置のメリット
ずっと付いている装置は固定式(こていしき)装置と言います。
効果のある時間が長い
取り外しが無いので装置をつけている時間は長くなります。その事から、効果のある時間は可撤式装置と比べて長くなります。
効果が早い
装置をつけている時間が長いので、歯の動き出しも早くなります。
効果は自動的
固定式装置を装着している最中、患者さまは特に装置を操作する必要がありません。何もしなくても自動的に動いていきます。
管理する必要がない
取り外しができる装置は、保管の状況、使用の確認などを、子どももしくは保護者が管理する必要があります。
その点ずっとついている装置は口の中にあるため、仕上げ磨きなどをしていれば見る事もあるでしょうが、管理までは必要ありません。
選択の理由
それでは、歯科医師はどのような理由で装置を選択しているのでしょうか。
虫歯の状況
ずっとついている装置は、歯を磨きにくいというデメリットがあります。そのため、虫歯が多い患者さまの場合は難しい、もしくはかなりの慎重さが必要になります。
歯ならびが良くなったとしても、虫歯だらけでは意味が無いからです。
協力度
これは虫歯の状況にも関わる事なのですが、患者さまが協力しないと歯列矯正は効果が出ません。
寝る時だけの装置の場合は、毎晩ちゃんとつけないと効果がでません。サボると何の効果も現れません。
ずっとついている装置の場合でも、しっかり歯を磨いてもらわないと虫歯だらけになってしまい、せっかくつけた装置を外して治療をしなければなりません。
他の装置との兼ね合い
歯ならびを治す場合、歯列矯正で使う装置はひとつとは限りません。
複数の装置を使用する際は、同時に利用できるか、次の装置への移行が可能か、などを考慮する事になります。
大人の矯正は寝る時だけでできますか?
大人の矯正は寝る時だけの使用で治療ができるのでしょうか。
装置はワイヤーなどのずっと付けている装置が主流で、最近はインビザラインなどのマウスピース矯正が加わってきました。マウスピース矯正は一日20時間以上の使用が推奨されているため、食事や歯みがき以外の時間は基本的に使用しなければいけません。
それを考えると、なぜ大人は夜寝る時だけの使用ではダメなのでしょうか。
理由としては以下の事が考えられます。
骨が硬い
子どもの骨に比べて大人の骨は硬いです。そのため歯が動きにくく、夜だけでの使用ですと治療が進みにくくなります。
永久歯が生えそろっている
乳歯に比べて永久歯は大きいです。歯ぐきの外に出ているいわゆる「歯」だけでなく、歯ぐきの中にある「根っこ」も長く大きいので、歯の移動には力の大きさとかける時間が乳歯より必要とします。
目的が違う
そもそも大人の矯正と子どもの矯正は目的が違います。
大人の矯正は歯をまっすぐに並べてしっかり咬み合わせるのが目的で、子どもの矯正は永久歯が生えてきやすいように歯を誘導するのが目的です。その事から大人の矯正は緻密な歯の移動を必要とし、夜寝る時だけの装置では治療が難しくなります。
まとめ
誰でも楽に歯列矯正をしたいと考えると思います。
ですが、その考えを満たすためにはいくつかの条件をクリアする必要があるのと、必ずしもその「楽な」治療がベストの治療では無い可能性があります。
歯科医院でご相談して、良い治療を選択して頂ければ幸いです。