こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
今回は「歯科矯正治療での横顔の変化」についてご説明していきます。
歯ならびによる横顔の変化
矯正相談に来られる方は、様々なお悩みをお持ちになっています。そのほとんどは、歯がデコボコであるなど「歯」に関してのものなのですが、時折「口元が出ている」など顔の形に関するお悩みも出て来ます。
矯正歯科では歯ならびを治しますが、単に歯だけを見ているのではなく顔全体を確認して治療計画を作成しています。
横顔は口元の形によって、いくつかのパターンに分けられます。
均整のとれた横顔
口元がイーラインに沿った横顔です。
イーライン
イーラインとはエステティックライン(Esthetic line)の略で、1954年にロバート・リケッツ(Robert Ricketts)が提唱しました。
美しい口元の基準となるもので、横顔の鼻の頭からあごの先を結んだ線に比べて唇の先端がどの位置にくるかで判断します。
欧米人は比較的鼻が高いためイーラインの内側に来るのが良いとされていますが、日本人は鼻が低いのでイーラインと同じもしくは少し出るくらいがちょうど良いと判断されます。
出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前に出るため、上唇がイーラインを越えます。
上の前歯が標準的な位置にあったとしても、下あごの骨が小さい場合もあります。
受け口(下顎前突)
下あごの骨が大きいとあごの先端が前になるため、上唇はイーラインよりかなり内側になってしまいます。
上下顎前突
いわゆる「口元が出ている」状態です。上下とも前歯が標準より前にあるため、上下の唇がイーラインの前に出ます。
口は閉じにくくなり、唇はめくれて厚くなります。最初から唇がめくれているので、笑うと歯ぐきが見えやすい状態(ガミースマイル)になりやすくなります。
老人性顔貌
総入れ歯を外したお年寄りの横顔は、口元が引っ込んだように見えませんか?
前歯が抜けてしまうと、特に上唇は前歯のあった位置に入り込んでしまいます。そのため唇はイーラインより内側になり、唇自体が薄くなります。
歯が抜けていなくても上の前歯が後ろ向きに傾いている、もしくは位置が内側にあると唇は内側に入り込みます。
横顔の形に影響するもの
横顔のパターンをご説明しましたが、次はそのパターンは何が原因で作られるかを挙げさせて頂きました。
前歯の位置
前歯、特に上の前歯の位置によって上唇の状態が決定されると言っても過言ではありません。
上の前歯が前にあると、上唇は前に出てめくれるので厚くなります。
あごの骨の形・位置
あごの骨も横顔に関係してきます。唇や下あごの先端の位置が変わります。
前後的な位置だけでなく、上下的な位置も横顔の形に影響します。
皮膚の厚さ
特に唇の皮膚・軟組織の厚さで、唇の位置が変化する事があります。
鼻の高さ
鼻の高さは人それぞれです。イーラインは鼻の頭を基準としているので、鼻の高さの違いによって唇の位置を検討する必要があります。
横顔を改善するための治療法
それでは、どのようにすれば横顔は改善するのでしょうか。
前歯をまっすぐ並べる
前歯が唇の形を決めるというお話は、先ほどご説明しました。
前歯をまっすぐ整えるだけで、横顔が改善する場合があります。
前歯を内側に移動させる
上下に関わらず、前歯が内側に移動しないと唇の形が変わらない場合があります。その際、以下の方法によって前歯を移動させます。
抜歯をともなう矯正
歯を抜く事によってすき間を作り、そのすき間に前歯を移動させます。大抵は小臼歯を抜歯して、犬歯と前歯だけを内側に移動します。
奥歯も含めて全体的に移動させる
小臼歯を抜かずに、奥歯も含めて全ての歯を内側に移動させます。
途中の歯を抜く必要はありませんが、移動の邪魔になる親知らずを抜歯する可能性があります。
また、奥歯を後ろに移動させるのは通常の歯列矯正では難しいので、インプラント矯正やインビザラインでの治療になるかもしれません。
外科矯正
あごの骨のバランスが悪いのであれば、歯を動かしただけでは顔の形は大きく変わりません。あごの骨を動かす事で横顔の形を改善します。
小児矯正
大人になってしまうと成長が止まってしまうため、大きくあごの骨をずらす事はできません。ですが、成長途中の時期であれば、歯科矯正治療によってそのバランスを変える事ができます。
まとめ
矯正歯科では口元の形を含めて診断して、良い歯ならびだけでなく良い横顔を目指します。逆に言えば、歯のならびは良くても横顔に問題があれば歯列矯正が検討されるという事です。
横顔を気にされる方はそれほど多くありませんが、歯の矯正をされるのであれば最終的に横顔がどうなるまで考えて治療を進めて頂ければ幸いです。