こんにちは。
宮城県岩沼市の
いわぬま矯正歯科クリニック院長小森です。
矯正歯科の良い選び方はありますか?でご説明しましたが、歯の矯正をする際に診療する歯科医師は様々なパターンに分けられます。それによって治療内容に差が出てくる可能性があります。
「マウスピース矯正はどこでやっても同じ」と思われる方がおられるのですが、他のワイヤー矯正などと同様に歯科医師や設備の違いで、マウスピース矯正も治療内容に差が出てきます。
歯科医師での違い
歯科医師によってマウスピース矯正の治療に違いがあります。
矯正歯科専門の歯科医師
歯列矯正を専門に診療している歯科医師です。
ここでは、日本矯正歯科学会の認定医資格を有している歯科医師を指します。
矯正歯科の認定医って何ですか?でご説明しましたが、日本矯正歯科学会の認定医資格を有するには一定の診療経験値を必要とします。
「マウスピース矯正」はあくまで歯列矯正の一部であり、歯列矯正を理解していた方が良い診療を
また、マウスピース矯正は万能ではありませんので、動きがうまくいかない時にワイヤー矯正などのリカバリーを必要とする事があります。その際にワイヤー矯正に長けた歯科医師が対処できるメリットがあります。
ですが、ここで問題があります。大学病院でマウスピース矯正での診療をしている所は、一部の大学を除きほとんどありません。特に国立大学では海外で作製する装置への認可問題があり、
マウスピース矯正の診療経験が多い
認定医を取得後に、大学病院を辞めてから経験を積んでいる歯科医師がほとんどです。
マウスピース矯正の診療経験が少ない
大学病院に在籍していたり、大学病院を辞めて間もない歯科医師は診療経験が少ない傾向にあります。
歯列矯正を専門としていない歯科医師
一般歯科医師とも呼ばれる歯科医師です。
こちらは歯列矯正の診療経験がバラバラで、多く診療をしている歯科医師もいれば、ほとんど経験の無い歯科医師もおり、いわゆるピンキリです。
患者さまがご自身で調べて納得して治療を受けて頂く必要があります。
設備での違い
歯科医院も様々ですので、設備も差がある事があります。
レントゲン
歯科医院では歯や骨の状態を確認するためにレントゲン写真を撮影します。虫歯や歯周病であれば、パノラマ写真と呼ばれる歯全体が撮影されたものや、デンタルと呼ばれる1~2本の歯を部分的に撮影するものがほとんどです。
しかし、歯列矯正で用いられるレントゲン写真は、頭部規格写真(通称セファロ)と呼ばれるものが撮影されます。
頭や骨と歯の位置関係を理解するために撮影されるものなのですが、
口腔内スキャナー
マウスピース矯正を作る際に歯型が必要なのですが、歯型の採り方は大きく二つあります。
Ⅰ 一般的な歯型
「粘土」のような物で採るもの。その後に石膏を流し込む事で歯型ができます。
マウスピースの技工所へアナログに郵送する必要があるため、送るだけで数日~一週間以上かかることがあり、治療の進み具合に影響します。
2 口腔内スキャナー
3Dのデジタル写真の重ね合わせで採るもの。デジタルのデータで記録されるため、マウスピースの技工所に即時に送信する事ができます。
マウスピースの技工所は、口腔内スキャナーの使用を推奨している所が多くなっています。
このようなマウスピース矯正は要注意!
最近、インビザラインを中心としたマウスピース矯正で治療できる歯科医院が増えています。
経験の浅い歯科医師が診療している
最近美容外科業界で、研修医を終えたばかりの医師が大学で形成外科等の経験をしないで直接美容外科に勤めてしまう事があり、「直美(ちょくび)」と揶揄されているそうです。
そのような医師は知識も技術も低いため、あまり高度な治療が行えません。
それは歯科業界でもある話で、大学卒後2~3年の歯科医師はまだまだ経験が浅いため、虫歯の簡単な治療も含めて経験のある歯科医師の元で診療している事が多いです。
ましてマウスピース矯正であれば、前述のとおり歯列矯正の診療経験も必要となってきます。
そのため、卒後間もない歯科医師が単独で診療している歯科医院でのマウスピース矯正は、かなり検討が必要かもしれません。
安すぎる
どんな物でも適切な相場価格があります。わずかの差であれば構わないのですが、大きな差がある場合は少々疑っても良いかもしれません。
最近の物価上昇により、矯正歯科の分野でも様々な物が値上がりしています。さらに賃金の上昇も相まって
いわゆる「安い」マウスピース矯正は、「プチ矯正」「部分矯正」とも言われる治療である事が多いです。
プチ矯正ってどうですか?でご説明しましたが、このような歯列矯正は内容を理解しないと、後で再治療が必要になったりする事があります。
まとめ
マウスピース矯正は全国どこでやっても同じではなく、診療する歯科医師・設備によって違いがあります。
電化製品などであれば基本どこで買っても同じ質なので、安く買えればそれで良いかもしれません。しかし、歯列矯正全般に言える話ですがマウスピース矯正も安くやれれば良いわけではありません。
しばらく前に、マウスピース矯正をおこなっていた歯科クリニックが急に破綻するという事件があり、現在も係争中です。
失われた27億円 前代未聞の歯科矯正トラブル を1年に渡って徹底追跡取材 (tv-asahi.co.jp)
これは極端な例なのかもしれませんが、「結局治らなかった」であったり、「咬み合わせが余計悪くなった」など、不幸なケースになる事もあります。
以上のことを検討していただき、皆さまが良いマウスピース矯正での治療に出会えることを願っています。